絵の具で遊ぶ
これは、2004年7月29日(木)と8月19日(木)に石橋美術館の親子実技講座です。
「夏休み。親子で芸術家。抽象画に挑戦」というタイトルで行われたもので、内容は。絵の具の3原色(赤、黄、青)を流れるままに、混じるままに。と留めるという作品を作ろうという企画で これはそのとき使った原稿です。
 みなさんも知っているように、何かが見えるということは目の前に光があるということです。光がなければ暗闇です。見えるということは光が物に当たり、その反射が、目に届くので、見えるのです。
 太陽の光をプリズムに通すと、赤、橙、黄、緑、青、青紫、紫の虹が見えることを知ってますよね。つまり、物の色はそれらの光の反射の割合や、光の波長の違いで、様々な色に見えるのです。このようなことをわかりやすくする為に、明度、彩度、色相という尺度を使います。簡単に言えば、明度とは明るさの度合い、彩度とは、鮮やかさの度合い、色相とは、色味の違いのことです。つまり、物の色は、三つの要素の微妙な組み合わせなのです。
 それから、色の話で、もう一つ重要なことは、色材(絵具)と色光(スポットライト)の三原色が、違うということです。
 色材の三原色は、赤、黄、青ですが、色光は、赤、緑、青紫なのです。そして、それぞれの混色の結果は、色材は黒に近い濁色、色光は透明になるのです。(色光については、少年科学館に行きましょう。)


 ところで、光や色彩の研究を初めてやった人物は、あのりんごが落ちるのを見て地球の引力を発見したニュートンなのです。そして、その後を引き継いで研究したのが、小説「ファウスト」や、「若きウェルテルの悩み」を書いたゲーテ(1749年〜1832年)です。ゲーテという人は、ドイツの人で、詩人であり、作家であり、自然科学者であり、また政治家でもある、とても多才な人でした。
ゲーテの自然科学の研究の中に「色彩論」というのがあります。これは、たくさんの自然現象の観察により書かれたもので、当時の画家達も、その影響を受けたようです。
 風景画家のターナーは、晩年になると、物の形がなくなり光を描くようになりました。モネも、光のゆらめきを三原色を使って追い続けた人で、彼の絵具箱には黒がなかったそうです。スーラは、絵の具の混色をしないで、人間の目の錯覚を利用した方法(並置混合)現在の印刷の原理で描きました。その他、まだまだたくさんの画家がいるのですが、実は、この久留米にも、同じような方法で絵を描いた画家がいます。坂本繁二郎です。みなさんも、坂本の絵をよく見てください。絵具の微妙な混色がとても綺麗ですよ。さあ、それでは、私達も絵具の三原色を使っておもしろく遊びましょう。

ターナー

モネ

スーラ

坂本繁二郎